Gemini 4 Argonを自分の仕事で試した結果
この記事の要点
Gemini 4 Argonを発表翌日に試した記録。欠陥を探す役の候補だが一人では任せない
この記事は2026年10月14日時点の情報です。料金や提供状況は変わることがあります。
AIモデルの発表で見る「ベンチマーク1位」は、自分の仕事を任せられる保証ではありません。 判断材料が欲しければ、発表の翌日に自分の仕事の問題で試すのが早い道です。 Googleの新モデルGemini 4 Argonで試した私の結論は「文書の欠陥を探す役の候補にはなるが、まだ一人では任せない」でした。
発表の「1位」は他人の問題の成績にすぎない
Googleは10月13日にGemini 4 Argonを一般提供にしました。公式は総合ベンチマークVals Indexの1位や、外から埋め込まれた命令への攻撃成功率0.7%(適応攻撃15回での値)、コーディングで近道に逃げる「ごまかし」2%などを挙げています。社内テストやパートナー報告に基づく数字が多く、日本語の性能に触れた記述はありません。
b-jamでは外に出す文書を出す前にAIに2段階で見せています。1段目が欠陥を探す役、2段目が「そのまま出す・直す・出さない」を決める役で、最後は人が見ます。公式の主張のうち多段の推論の強さと近道の少なさは、この仕事に当てはまりそうでした。コーディングの数字が文書の審査に移るかは分かりません。
だから自分の仕事に近い問題を選び、失敗しても痛くないものから試します。
同じGeminiでも契約や画面によって使えるモデルが違う
Google AI Proのアプリのモデル選択には「4 Argon」が出ていました。私が契約しているWorkspace版のGeminiには出ず、コマンドラインツールのAntigravityにも出ません。9月にはWorkspace版の画面だけを見てGemini 3.8は使えないと判断し、個人契約のアプリで使えると分かって訂正しました。AIの可否を書くときは、どの契約のどの画面の話かを必ず添えるようにしています。
合格条件を試す前に決めておけば結果を都合よく読まずに済む
結果を見てから基準を決めると良い面だけ拾ってしまいます。題材は以前に自分で作って審査した文書3本(配布用の1枚もの・提案の下書き・note記事)で、直すべき欠陥が記録に7つあります。7つのうち一部は直す前の状態に戻し、1つは植え込みました。欠陥の一覧は渡さず、以前のモデルに使ったのと同じ依頼文と規則だけを渡しました。
試す前に決めた合格条件は3つです。
- 欠陥7つをすべて見つける
- 指摘のうち正しいものの割合が53%以上
- 「出す・直す・出さない」の判断が、過去に人が下した判断と3本中2本以上同じ
1つ目と2つ目が探す役の試験で、3つ目が決める役の試験です。
53%はこれまで探す役に使ってきたGPT-5.6 Sol(思考レベル中)が出す指摘のうち正しかった割合です。9月に後継のGPT-6 Solへ切り替えたときは46%でした。指摘が正しいかの採点は、どのモデルの出力か知らせないまま別のAI(Claude Opus)に任せています。
欠陥は7つ中6つ見つかり判断は思考レベルを上げると3本中2本当たった
アプリの思考レベルは「安値」「中」「高値」の3段階です。両端の2つで同じ3本を審査しました。以下では低・高と呼びます。
低(初期設定)
- 欠陥の検出 6/7
- 正しい指摘の割合 69%(26件中18件)
- 判断の一致 0/3
- 1本あたり18〜45秒
高
- 欠陥の検出 6/7
- 正しい指摘の割合 63%(41件中26件)
- 判断の一致 2/3
- 1本あたり136〜174秒
低は3本とも判断を外しました。提案の下書きを「そのまま出す」としたのは、同じ3本を以前に別のAIに審査させた18回の出力の中で初めての甘い側の誤りです。高は下書きと記事を「直す」に着地させて2本が一致しました。正しいか際どい指摘をすべて誤りと数えると、低は62%、高は51%まで下がり、高は合格線の53%を割ります。
高にすると合計で約5倍の時間がかかり、正しい割合は69%から63%に下がる代わりに判断が当たりました。今回の結果からは探す役なら低、決める役を試すなら高を選びます。
見落とした1つは直すと欠陥が深まる向きの指摘だった
見落としたのは提案の下書きにあった一文です。読み手がCopilotの有償契約を持つか確かめないまま、既存のMicrosoft 365の範囲でできると言い切っていました。確かめていない前提は条件つきの書き方に直すのが私のルールです。
Argonはこの一文に目を留めたものの、出した直しは「Copilotと明記する」でした。前提をさらに強く断定する向きで、低でも高でも同じ形で出ました。以前に別のAIで試した6回のうち3回もこの一文を見落としています。AIの指摘は直す向きまで人が見てください。
欠陥を探す役の候補にはなるがまだ一人では任せない
合格条件に当てると結果は次のとおりです。
- 欠陥をすべて見つける(6/7で未達)
- 正しい割合が53%以上(低69%・高63%で達成。ただし高は厳しく数えると51%で未達)
- 判断が3本中2本以上同じ(高のみ2/3で達成)
探す役は1つ目が未達なので候補止まりです。決める役は高なら合格ラインで、低では外します。どちらも「使える」とは書きません。最後に人が確かめる運用は変えません。
限りもあります。試したのは3本で各設定1回、画面はGoogle AI Proのアプリだけです。比べた従来のモデルには文書をファイルで渡しましたが、今回はチャットに貼り付けたので条件が同じではありません。新しいチャットを開くたびに思考レベルが低に戻り、モデルがFlashに戻ることもあったので、送る前に選択を確かめてください。
発表の翌日に自分の仕事で試す手順は3つだけ
- 公式の主張から自分の仕事に近いものを選び、失敗しても痛くない課題を1本目にする
- 合格条件を試す前に固定し、一部だけ満たしたときは満たした項目を分けて書く
- 正しさの採点は出力がどのモデルのものか知らせない別のAIに任せる
同じ試し方でClaude Opus 5.5とGPT-6 Solを比べた記録も書いています。どの業務から試すかで迷うときは「最初の1業務をどう選ぶか」も読んでみてください。
AIに任せる仕事の品質検査から一緒に設計する伴走をしています:https://b-jam.co.jp
出典・参考リンク
同じ環境の記事
・Google WorkspaceのGemini
Claudeがスプレッドシートの数式まで入れてくれた
Googleのドキュメントとスプレッドシートとスライドの中で使えるようになったClaudeを自社で試した
・Google WorkspaceのGemini
Geminiのスキルを2本重ねて朝の整理を回した
個人アカウントに来たGeminiのスキルで自作の指示書を2本重ねた記録
・Google WorkspaceのGemini
GemがGeminiのスキルに置き換わる日程を公式投稿で読み直した
Geminiの自分用指示Gemがスキルへ移る日程を公式投稿で確かめて使う会社が今決めることを整理した