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AIの下書きはAI自身に向けて書かれる

今井雄大・公開 ・いまある環境でできる

この記事の要点

社内AIの下書きを4つの規則で直し読みやすさと内容の漏れを別に確かめた記録

「これ1枚で準備できるもの」と社内のAIに頼んだら約5,600字の下書きが返ってきました。 根拠欄には社内の番号が並び、質問や仮説は3列の表に詰まっています。 4つの規則で読めるように直したあと、今度は要約で落ちた項目が見つかりました。

この記事に書いてあること

  • 社内のAIが作ったブリーフィングを読めなかった理由
  • 読み手を決めて全面的に書き直した4つの規則
  • 読みやすさとは別に確かめた内容の漏れ

頼んだのはこれだけで準備できる資料

b-jamは社員1人とAIエージェントで運営しています。AIには営業担当や法務担当などの役割があり、今回頼んだのは営業担当です。

依頼は翌日の打ち合わせ用の社内ブリーフィングでした。これ1枚を読めば準備できるものが欲しかったんです。

AIは顧客ごとの記録・過去の面談メモ・提案メモ・業界の調査メモを読んで下書きを作りました。

参照先はあるのに中身が分からない

初稿の根拠欄にはページ番号や社内の決定番号・宿題番号・ファイル名が並んでいました。架空の表記に置き換えると「p.7」「C-004」「資料B」のようなものです。どこを見たかは書いてあっても、そこに何が書かれていたかは分かりません。

業界の専門用語が説明なしで並んでいたことも、読む手を止める原因でした。

質問や仮説は「投げかけの一言」「根拠」「地雷」の3列表です。1行が長いうえに読む順も決まっていません。分量は約5,600字でA4なら2枚強。そもそも1枚には収まっていませんでしたが、まず困ったのは他の資料を開かないと理解できないことでした。

私はこう返しました。

わかりにくい。これだけを私が見て他の資料を見なくてもわかるようにしてほしい。

書いたAIの記憶に向けた文章だった

今回の下書きは書いたAI自身の記憶に向けた文章だったように思います。社内のどこに何があるかを知っている側なら番号だけでも中身を思い出せる。でもその前提を持たずに読む側には伝わりません。

悪意があるわけではなく、読み手を具体的に想像していなかったんですよね。

私も「これ1枚」とは頼んだものの、誰が・いつ・何を見ながら読むかを先に決めて渡していませんでした。自分が読む資料だから伝わるだろうという甘さは、頼む側にもあった気がします。

用語をいくつか補うだけでは読む順が変わりません。そこで部分修正ではなく、前提を知らない私がこの資料だけで準備できるように全面的に書き直すことにしました。

直した4つの規則

直す規則は4つに絞りました。

1つ目は社内の識別子や参照を本文に出さず、根拠の中身を言葉で書くこと。番号を消すだけでは根拠までなくなるので、その記録から何が分かるのかを文章にします。

2つ目は専門用語の初出に1文の説明をつけること。意味を調べに別の資料へ移らなくても読めるようにしました。

3つ目は表を減らして話せる文で組むこと。「こう聞く」「なぜ聞くか」「言ってはいけないこと」のように分けました。表の長い1行から意図を読み解く手間を減らすためです。

4つ目は読む順に物語として構成すること。何をしに行くのかから始め、相手はどんな会社か、いま何が動いているか、提案の中身は何か、当日の話題は何か、聞くことは何かへ進む。そのあとに切り出し方と言わないことを置き、当日の流れで終える順にしました。

AIが書いた初稿と読み手起点で直した版

書き直したあとには社内識別子が残っていないかを機械的に検査しました。検出パターンは11種で本文の該当は0件。末尾の「参照(読まなくてよい)」1行だけを例外にしています。読めるかは人が確かめ、番号の残りは機械でも確かめる形です。

読みやすくなっても全部は残っていなかった

2版目は読めるようになりました。そこで「整理した仮説などの内容はすべて入っているか」と確認すると別の問題が出てきたんです。

要約の過程で優先度の低い案3本と未決事項、正式な場で聞く質問が落ちていました。読みやすい文章を眺めるだけでは、元にあった項目が消えていることに気づけません。

3版目には「仮説の全体像」「まだ決まっていないこと(5点)」「正式な場で聞くこと(5項目)」を追記して復元しました。最終的には約1万字でA4約4枚です。

「1枚」という当初の分量は達成していません。それでも今回は必要な内容を残してこの資料だけで準備できることを優先しました。

読みやすくする作業と漏らさず残す作業は別物です。要約が進むと落ちるものがある。だから読みやすさを直したあとに、元の資料と照らして項目の有無を確かめる工程を分けました。

次に頼むときは読み手と確認まで渡す

前作のGeminiに2つ同時に頼んだら片方が抜けたは頼み方を分ける話でした。今回はその依頼を誰に向けて書いてもらうかの話です。

AIの下書きに20点をつける理由で扱った下書きを採点して直す運用にも、読む人の前提と内容の漏れという確認点を持ち込めます。

社内資料を頼むときならまず次の言葉を添えるところから試せそうです。

この資料だけを読む人向けに。その人は前提を知らない。社内の番号や略語は使わず、中身を言葉で書いて。終わったら、元の資料にあった項目が全部入っているか自分で確かめて。

今回の4つの規則は人が書いた社内資料を見直すときにも使えると思います。まず1つの資料で、読む人が他の記録を開かずに理解できるかを確かめる。読めるようになったら落としたものがないかを別に見る。この順で試していきます。

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