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AIに印が入る前に決めていた3つ

今井雄大・公開 ・いまある環境でできる

この記事の要点

AIの生成物に印が入る前提で1人法人が先に決めていた3つの運用。

8月2日にEU AI Act第50条が適用されました。

8月14日にはAnthropicが「Claudeが書いた文章に不可視の印をつける」方式を公式に説明しました。

その週にb-jamがやったのは新しいルールを作ることではなく、もう決めていたことに気づくことでした。

透かしが入るのはClaudeだけの話ではありません。GoogleもOpenAIも同じ方向を向いています。契約書の条項・この記事の末尾・顧客への説明文。印が入る前から用意していた3つの運用を今回まとめて書きます。

印の中身を確認する

「印」の正体は生成AIの出力に埋め込まれる機械可読な標識です。文章には統計的な透かし(SynthID-Text系の技術)が、画像やSVGなどのファイルにはC2PAという来歴情報が付きます。Anthropicは8月2日以降に登場するモデルにはローンチ時からこの透かしを適用しています。既存のモデルには今後数か月をかけて追加すると説明しています。

背景にあるのはEU AI Act第50条という制度上の要請です。Googleも7月下旬に透明性の行動規範へ署名しSynthIDの採用パートナーとしてOpenAIの名前を挙げています。1社だけの動きではありません。印から分かるのは「AIが関与した可能性」までで、誰が使ったか・何を入力したかは分からないとされています。検知の手段は今のところ一般には公開されていません。

制度・ツール・自社運用の3層構造。制度はEU AI Act第50条、ツールはAnthropicやGoogleの標識実装、自社運用は契約・記事末尾・顧客説明の3点

制度・ツール・自社運用という3層に分けるとb-jamがいた場所がはっきりします。制度がEU AI Act第50条、ツールがAnthropicやGoogleの標識実装、そして自社運用が今日決めていた3つの運用でした。

契約にはすでに書いてあった

業務委託契約のひな形には成果物に生成AIで作った内容が含まれる場合はその旨を甲に開示するという条項があります。この条項は透かしの話が出る前からすでにありました。透かしの方針が公表された週にこの条項を見直しました。結論は改訂不要です。

印は「AIが関与した可能性」を示すシグナルであって権利や義務を新しく作るものではありません。開示すべき事実そのものは透かしの有無にかかわらず変わらないからです。

この記事の末尾で実演する

もうひとつ決めていたのは記事の末尾にAI利用の一言を載せることでした。理由はシンプルです。後から分かるより、最初から書いてあるほうが読む側にも書く側にも負担が小さいからです。

この一言を実際に運用してみて分かったことがあります。下書きの日本語をAIに書かせるとき、最初は一般的な文章の規則をそのまま読ませていました。すると出てくる文章がどうも自分の言葉に見えず、結局ほとんど直すことになっていました。

そこで直した箇所を毎回記録し次の下書きに反映する運用に切り替えたところ直す量はだいぶ減りました。それでも一般的な規則が奥に残っていて見出しや本文に読点が漏れることがありました。原因は文脈として何を学習させるかを決め切れていなかったことでした。一般的な規則と自分の好みが同じ場所に同居していて優先順位が付いていなかったんです。この記事を書く直前にその優先順位を1本にまとめました。

この記事の末尾には実際に運用しているAI利用の一言を載せています。

聞かれたときに使う説明文

顧客向けの運用も決めました。納品メールの末尾に添える一文・成果物の表紙裏に置く注記・商談や納品時に話す30秒の説明。3つとも用意してあります。権利や著作権が誰のものかは標識の有無にかかわらず契約の定めによるという整理をしています。

これは聞かれたときに使う説明であってこちらから売り込む材料ではありません。開示を訴求に使うと開示そのものの意味が変わってしまいます。成果物の本体に一律で書き込む案も検討しましたが、採りませんでした。成果物は顧客の名義で外に出るものです。そこにb-jamの名前を刻むと顧客への帰属と噛み合わなくなります。

決めなかったこと

透かしを消す書き方はしていません。「AIを使っていません」を売りにすることもしていません。成果物の本体へ一律で明記することもしていません。印がついて回る前提で開示だけは先に運用として作ってあります。それで十分だと考えています。

貴社にもAI利用の開示ルールがまだなければ今のうちに決めておく価値があります。何を開示するか・どこで開示するか。印が入ってから慌てて決めるより、先に運用にしておくほうが後がずっと楽になります。貴社の開示ルール整備はb-jamのAI活用伴走でも一緒に整理できます。

関連して「余力の再投資先を何度も間違えた」(「余力の再投資先を何度も間違えた」)と「AI活用ルールは権限3層で決める」(「AI活用ルールは権限3層で決める」)も公開しています。

下書きはAIに投げています。最初はほとんど直していましたが、直した箇所を覚えさせる運用を回してからだいぶ減りました。読点の位置だけはいまだに直しています。。

出典・参考リンク

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