b-jam

余力の再投資先を何度も間違えた

今井雄大・公開 ・いまある環境でできる

この記事の要点

効率化で浮いた時間の向け先を、運用ログから選び直した話。

効率化で時間が浮けば次の仕事も自然に進むと思っていました。

でも実際には、浮いた時間の向け先を間違えると作ったものだけが増えていきます。

b-jamでも新しい仕組みを作り4週連続で一度も届けられませんでした。

浮いたら終わりではなかった

AIエージェントに仕事を任せ始めるとこれまで人が抱えていた作業が少しずつ軽くなります。

b-jamでは6月から7月にかけてエージェントへの委譲数が急増しました。たとえばコンテンツ制作を担うcontent-engineへの委譲は、月0回から17回に増えています。

作っただけだった部門が、実際に動き始めた。開発やマーケティングにも余力が生まれました。

ここまでは仕組みが動けば進みます。難しかったのはその先でした。

浮いた時間を新しい施策に使うのか。今ある仕組みの磨き込みに使うのか。あえて何も作らず、様子を見るのか。これはエージェントには決められません。

私は「浮く→作る」の「→」をかなり軽く見ていました。時間が空いたら次のものを作ればいい。そんな単純な話だと思っていたんです。

でも余力は方向を決めないと成果には変わりません。効率化そのものより浮いた後の意思決定の方が難しいのかもしれません。

配れなかった4週間

浮いた開発・マーケティングの余力で、顧客向けアップデートダイジェストの仕組みを作りました。

AIツールの更新情報を集めその週いちばん役立ちそうなものを目玉に選ぶ。内容を分かりやすく整理し顧客向けに届ける仕組みです。

毎週原稿までは完成しました。目玉も決まり、説明も整っています。あとは配るだけでした。

ところが配布前の確認で止まります。

「今回取り上げたツールを使っている顧客が、思い当たらない」

その週は配布を見送り、次の週は別の更新を選びました。しかしまた同じ理由で止まる。これを4週続けて繰り返しました。

結果は4週連続で配布なしです。毎週きちんと作っているのに、誰にも届いていません。

効率化で浮いた余力を使い新しい仕組みも動かした。それでも顧客に届くものは増えませんでした。正直、なかなかきれいな空回りです。。

ここでようやく作る量ではなく止まった理由を調べることにしました。

止まった理由を数えてわかった

感覚で振り返ると「扱うニュースが弱かった」「準備に時間がかかった」といった説明が浮かびます。ただそれでは次の判断を変えられません。

そこで月次で回している運用レビューで、記録されたログを監査しました。対象は2026年7月2日〜8月1日の150セッション・10,710件のイベントです。

ログを数える作業では別の見落としも見つかりました。日々の指示出しに使っているコマンドが、記録上は月0回に見えていたのです。実際の動きを数え直すと数えられた範囲だけで月35回使われていました。

動いていないのではなく、見える形で数えられていなかった。印象だけで判断していたら、この違いにも気づけませんでした。

同じようにダイジェストの停止理由を突き合わせるとずれははっきりしていました。

目玉を選ぶときは「今週何が新しく出たか」というニュース起点。一方、配るかどうかを決めるときは「顧客が実際にそのツールを使っているか」という顧客起点でした。

入口と出口で判断基準が違っていたんです。

「浮く→作る」の一方通行と「浮く→作る→数える→届く」の検証ループ

原因が分かってからは、順番を組み替える案を用意しました。先に顧客が使っているツールの一覧と照らし合わせ、当てはまる更新がある週だけ作り込む。該当しない週はそもそも制作へ進みません。

作る力が足りなかったのではありません。作る前の判断が足りていませんでした。

浮いた時間の向け先を選び直す

効率化で時間が浮くとすぐ新しい施策を足したくなります。私も何度もそうしてきました。

ただ新しいものを作る前に、今動いているものが本当に届いているかを数えた方が早いことがあります。

作った回数だけでは足りません。配れたのか。使われたのか。止まったならどこで止まったのか。そこまで見て初めて、次に余力を向ける場所を選べます。

別の案件では逆の判断もしました。ホームページ改善へ浮いた開発力を投資する案がありましたが、直近3週間、狙っていた反応が一度も起きていませんでした。反応を測れるだけの訪問がまだ足りないと判断し、追加開発はいったん見送っています。

浮いた時間があるからといって、必ず何かを作る必要はありません。「作らない」も再投資の選び方です。

貴社でも効率化の次を考えるときは、新しい施策を増やす前にやることがあります。今ある仕組みの「作った回数」ではなく「届いた回数」を数えてみてください。余力の向け先を決める材料は、すでに動いている仕組みの中に残っているはずです。

関連して「1人法人を16のAIエージェントで動かす実運営ログ」(https://note.com/bjam/n/n390cace8dcac)と「最初の1業務をどう選ぶか」(「最初の1業務をどう選ぶか」)も公開しています。

同じ環境の記事