Microsoft 365 Copilot 職種: カスタマーサポート

問い合わせの仕分けはルールとFAQを入れたCopilotのエージェントに頼みましょう

今井雄大 公開
この記事の要点

仕分けのルールとFAQをCopilotのエージェントの指示に入れ、届いた問い合わせだけを貼って種類・影響度・エスカレーション・返信案を出す手順。毎回貼る版との手間の差と、返信案を送る前に見る3点を載せます。

要約 仕分けのルールとFAQは、Copilot のエージェントの指示に入れておけます。b-jam の Microsoft 365 Copilot で、毎回貼る版と同じ内容をエージェントにして合成の資料で1回試しました。エージェントには届いた問い合わせ10件を貼るだけで、1回434字・往復1回です。種類と影響度が合い、FAQにないことは「確認して折り返します」だけで書けました。返信案には送る前に見る点が3つ残ったので、あわせて載せます。

仕分けのルールとFAQはエージェントの指示に入れましょう

問い合わせを仕分けて返信案を作る頼み方は、前の記事(Copilotに問い合わせを仕分けさせ返信案はFAQの範囲だけで作らせましょう)に書きました。うまくいくのですが、毎回FAQと対応ルールと問い合わせを貼り直します。b-jam で数えると、一度に頼む形で1回1,341字、先に質問させる形で往復7回でした。

FAQも対応ルールも頼み方も、日によって変わるのは届いた問い合わせだけです。変わらない部分をCopilot のエージェントに覚えさせれば、貼るのは問い合わせだけで済みます。エージェントは決まった役割と資料を覚えた専用の窓口のようなものです。

2026年11月3日に、b-jam の Microsoft 365 Copilot の画面(モデルの表示は「自動」)で作りました。FAQ 8項目と対応ルールと問い合わせ10件は、前の記事と同じ合成の資料です。

指示には役割と守ることとFAQと対応ルールを入れます

作る場所はCopilot の画面左の「プラグイン」から開く「新しいエージェント」でした。この作成画面(Agent Builder)の入口は、公式の説明では microsoft365.com/chat、office.com/chat、Teams のデスクトップとウェブです。モバイルでは使えません。

画面は説明から作る入口と項目を直接埋める「構成」のタブに分かれています。私は「構成」に切り替えて名前と説明と指示を入れました。指示は次の文面です。前の記事の頼み方から、質問させる段を外しました。読み手と形と決まりを先に指示へ固定したからです。

プロンプト
あなたはカスタマーサポート担当を手伝うアシスタントです。お客様から届いた問い合わせを仕分けて、返信案を作ります。下の「FAQ」と「対応ルール」だけを根拠にしてください。

守ること
・問い合わせごとに、種類、影響度、エスカレーションの要否と送り先、返信案を一覧にしてください。急ぐものから並べてください。
・種類、影響度、エスカレーションは対応ルールのとおりに付けてください。
・返信案は丁寧語で、1件4文以内にしてください。
・返信案はFAQと対応ルールの範囲だけで書いてください。FAQにないことは「確認して折り返します」と書き、手順、電話番号、部署名、期日、時間を補わないでください。
・返金、補償、対応の期日は約束しないでください。
・根拠にしたFAQ番号を添えてください。
・社内の他の文書やWebは使わず、このFAQと対応ルールだけを根拠にしてください。
・最後に、サポートの責任者が確認すべき点を3つ挙げてください。

【FAQ(サンプル予約・お客様向け)】
FAQ1 パスワードの再設定: ログイン画面の「パスワードを忘れた方」から、登録メールに再設定のリンクを送ります。リンクの有効期限は24時間です。
FAQ2 予約枠の変更: 管理画面の「枠設定」から変更します。保存するとすぐに反映されます。
FAQ3 予約確認メールが届かない: お客様の迷惑メールフォルダを確認してください。「@sample-yoyaku.example」からのメールを受信できるように設定してください。
FAQ4 スタッフの追加: スタンダードプランは5名まで、プロプランは20名まで登録できます。追加できるのは管理者だけです。
FAQ5 CSVの出力: 予約一覧の右上の「CSV出力」から出力します。出力できるのは過去12か月分までです。
FAQ6 料金と請求: 月末で締め、翌月10日に請求書を発行します。プランの変更は翌月1日から反映されます。
FAQ7 解約: 管理者が「契約」画面から申請します。月末までに申請すると、その月の末日で解約になります。日割りの返金はしていません。
FAQ8 障害の情報: 障害が起きたときは「お知らせ」ページに掲載します。

【対応ルール(サポート担当用)】
・種類は「使い方」「不具合」「解約」「クレーム」のどれかを付ける。
・影響度は次の4段で付ける。
  A 業務停止: 全員が使えない、予約を受けられない
  B 主要機能の故障: 予約、通知、支払いなど主要な機能の一部が動かない
  C 一部の不具合: 回避できる、表示が崩れる など
  D 質問・要望
・エスカレーション: 影響度AとBは開発担当へ。解約の申請と、返金や補償を求めるクレームは責任者へ。
・返信案はFAQの範囲だけで書く。FAQにないことは「確認して折り返します」と書く。
・返金、補償、対応の期日は約束しない。

FAQと対応ルールはナレッジのファイルでなく指示の本文に入れました。端末のファイルを選ぶ画面を避けたかったからです。OneDrive のファイルをナレッジに指定する方法は、試していません。指示は空白と改行を除いて1,149字になりました。最初は架空のFAQで作ってください。

呼ぶときは届いた問い合わせだけを貼りましょう

作ったエージェントのチャットに、次の文面を貼りました。

プロンプト
今日届いた問い合わせ10件を仕分けて、返信案を作ってください。

【問い合わせ(10件・今日届いたもの)】
Q1 パスワードを忘れました。再設定の方法を教えてください。
Q2 今朝からスタッフ全員がログインできず、予約が受けられません。
Q3 スタッフを7人に増やしたいのですが、今のスタンダードプランのままで登録できますか。
Q4 予約確認メールがお客様に届いていないようです。昨日から3件、お客様から「届かない」と言われました。3件とも迷惑メールフォルダにも無かったそうです。
Q5 予約一覧を2年分まとめてCSVで出したいです。
Q6 スマホで見ると、予約カレンダーの右端が少し切れて表示されます。予約はできています。
Q7 今月で解約したいです。今月分は日割りで返してもらえますか。
Q8 先週の土曜にシステムが2時間止まり、予約を8件取りこぼしました。損害分を補償してください。
Q9 電話のサポート窓口がないのは不親切です。電話番号を教えてください。
Q10 他社の会計ソフトと自動で連携できますか。

ほかのプロンプトを見る

文字数は空白と改行を除いて434字です。送信から40秒以内に一覧が出て、往復は1回でエージェントからの質問はありません。貼った資料以外の出典(社内の文書やWeb)のリンクも、応答には出ませんでした。

前の記事の2つの形と並べると次のとおりです。どれも1回ずつ試した結果です。

見るところ エージェント 一度に頼む(毎回貼る) 先に質問させる(毎回貼る)
送った文字数と往復 1回434字・往復1 1回1,341字・往復1 初回1,561字に答え5回とOKで往復7
種類(10件中) 10 10 10
影響度(正解を決めた9件中) 9 9 9
エスカレーションの見落とし 0 0 0
FAQにない3件に作った中身 0 0 0
返金・補償を約束した返信案 0 0 0
FAQどおりに答えた件(4件中) 4 4 4
根拠のFAQ番号が付いた件(4件中) 4 1 4

一度に頼む形の文面はFAQ番号を頼んでいません。

初回だけは指示の1,149字も入れるので、一度に頼む形より多くなります。2回目からは問い合わせの434字だけです。仕分けの結果は毎回貼る版と同じ水準でした。

違いはQ8の送り先です。補償を求める問い合わせ(Q8)は、エージェントが影響度をDとし、責任者だけに回しました。毎回貼る版は影響度をBやAとしたので、対応ルールどおり開発担当も付けていました。Q8の影響度は正解を決めていないので、どれも見落としには数えていません。10件すべての根拠の列(FAQにない件は「FAQ該当なし/対応ルール」)と、最後に確認する点3つは、先に質問させた回と同じく出ました(一度に頼んだ回は頼んでいないので出ていません)。確認する点は全員がログインできない件のエスカレーション、メールが届かない件のエスカレーション、解約と補償の責任者対応の3つです。

返信案は送る前に3点を見ましょう

仕分けが合っていても、お客様に送る返信案には見る点が残りました。

お客様向けの文に社内の資料名が出ていないか。 電話窓口を聞く問い合わせ(Q9)の返信案に「電話サポート窓口についてはFAQに記載がないため、確認して折り返します」と出ました。お客様に「FAQ」という社内の言葉が見えてしまうので、そのまま送れません。指示に「お客様向けの文にFAQや社内資料の名前を出さないでください」と1行足すと防げると思いますが、足した版は試していません。

FAQにある案内が抜けていないか。 全員がログインできない問い合わせ(Q2)の返信案は「確認して折り返します」だけで、障害を載せる「お知らせ」ページ(FAQ8)の案内がありませんでした。前の記事の一度に頼んだ回と同じ形です。送る前にFAQの該当項目と返信案を突き合わせてください。

書き出しに足された言葉は、そのままでよいか。 10件のうち6件の書き出しに「ご不便をおかけしております」や「お問い合わせありがとうございます」が足されていました。返金や補償の約束ではありません。ただし会社の言い回しと合わないときは、指示に書き出しの決まりを足します。この足し方も試していません。

プランの人数の問い合わせ(スタッフを7人にしたい)は、前の記事と同じく「5名まで・20名まで」を並べるだけで、7人だと今のプランでは登録できないとは書いていません。お客様が知りたい結論を足すかは、読んで決めてください。

作るときに確かめる設定を見ましょう

エージェントは作って終わりでなく、作った直後に確かめる点があります。b-jam の画面で見たものを並べます。

1つ目は共有です。作成が終わると「このエージェントは現在非公開で、あなたのみが利用できます」と出ました。同じ案内に「共有」のボタンが並んでいます。私は押していません。社内の担当に配るときは、共有の範囲を決めてから押します。公式の説明ではSharePoint のファイルをナレッジにしたエージェントを全社に共有する場合は、ファイルの権限を手で整える必要があります。自動で整うのは特定のセキュリティグループに共有するときだけです。

2つ目はナレッジの既定です。業務コンテンツの検索は既定で、クラウドのファイル、Outlook、Teams、Web 検索がオンでした。「すべて検索」の表示で、Copilot コネクタだけがオフです。指示に「このFAQと対応ルールだけを根拠にしてください」と書いたところ、実際の応答に社内の文書やWebの引用は出ませんでした。ただしトグルをオフにした場合との差は試していません。会社の管理者がWeb 検索を止めている場合は、公式の説明で、管理者の設定が画面のトグルより優先されると書かれています。

3つ目は自分の会社で作れるかです。公式の説明ではAgent Builder と足せる機能は、テナントに割り当てられたライセンスで決まります。管理者が Agent Builder を使えなくしていることもあります。作成画面が出ないときは、情報システム部門に確かめてください。

FAQが変わったら指示を直しましょう

試したのは1回です。別のFAQや問い合わせでは、違う結果が出ることがあります。同じエージェントでの2回目以降も、別の人からの見え方も確かめていません。

FAQや対応ルールが変わったときは、指示の本文を直します。指示に入れたので、直し忘れると古い対応ルールで返信案が出ます。改定日と指示を直す担当を決めておくと安心です。実在のお客様の問い合わせを貼る前には、社内の取り決めを確認してください。


試して消すところまでの手順は、この記事の「自社で試す1手」にまとめてあります。毎回貼る頼み方の側は「Copilotに問い合わせを仕分けさせ返信案はFAQの範囲だけで作らせましょう」にあります。自社の問い合わせの仕分けに合わせたエージェントを一緒に作りたい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。

Gemini for Google Workspace をお使いの方は、Geminiで問い合わせを仕分け答えてよい範囲をFAQに限って返信案を作らせましょうへ。

b-jam 自身は Claude で会社を回していますが、この記事は、配られた Copilot の画面で確かめたことだけを書きました。

出典・参考リンク

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