Geminiには作業の前に質問させて数字は式で確かめましょう

今井雄大 公開
この記事の要点

Geminiに1問ずつ質問させ、OKと言うまで作業させない頼み方。式のない数字は間違えることがあるので、式を付けさせて電卓で1つ確かめる。思考モードの上限の見分け方つき。

要約 条件を書き足すほど指示文は長くなり、書いたはずの条件が抜けたまま作業が始まります。Gemini に先に1問ずつ質問させ、ゴールを確認してから作業させる頼み方を、貼るだけの文面で載せます。b-jam の Gemini for Google Workspace(Business Starter)で合成の表を使って7回試すと、OKと返す前に成果物が出た回は0回でした。一方で数字の誤りは7回中4回で出たので、式を付けさせて1つ電卓で確かめる手順もあわせて載せます。

長い指示文を書く前に Gemini に質問してもらいましょう

Gemini に長い指示文を渡しても、出来がそのつどばらつきます。条件を書き足すほど文は長くなり、書いたつもりの条件が抜けることもあります。

この記事は最初の1通を長く書く方法とは別の道です。Gemini に先に1問ずつ質問してもらい、こちらは答えるだけにします。最後にゴールを3〜5行で確かめてから作業させます。条件の抜けは質問に答える途中で拾えます。

試したのは Gemini for Google Workspace(Business Starter)の Gemini アプリ(gemini.google.com)です。画面のモデル表示は「Flash」と「思考モード」の2つが出ました。どちらで動いた回かはこのあと回ごとに書きます。近い話は「『いい感じで』ではAIは動かない」にあります。OKを実行の合図にする1文の話でした。今回は質問を1問ずつにしてゴールの確認から作業までを1通の文面にまとめます。

貼る文面は1通です

文面は3つの手順でできています。

段 頼むこと 狙い
手順1 質問 1問ずつ・5問以内。目的、資料、形、決まり、読み手と期限の順。「わからない」「おまかせ」には案を示して次へ 質問攻めを防ぎ、答えられない問いで止まらない
手順2 ゴールの確認 目的・入力・出力・守ること・確認方法を3〜5行でまとめ、私がOKと返すまで作業しない 作業の前に食い違いを見つける
手順3 作業 OKの後で作業する。数字と固有名に出どころを添える。最後に確認点を3つ挙げる。合計・割合・日付は式か根拠つき 出来た数字を後から確かめられる形にする

貼る文面は次のとおりです。【業務】を自分の仕事に替え、最後に表を本文として貼ります。ファイルは添付しません。

プロンプト
【業務】を手伝ってください。
先に作業せず、次の順で進めてください。

手順1 質問
・私に1問ずつ質問してください。全部で5問以内です。
・聞く順は、目的、使う資料、出来上がりの形、守る決まり、読み手と期限です。
・私が「わからない」「おまかせ」と答えたら、あなたの案を示して次へ進んでください。

手順2 ゴールの確認
・質問が終わったら、目的、入力、出力、守ること、確認方法を3〜5行でまとめてください。
・私が「OK」と返すまで、作業を始めないでください。

手順3 作業
・OKの後で作業してください。
・数字と固有名は、元の資料のどこから取ったかを添えてください。資料にない数字は作らないでください。
・最後に、私が確認すべき点を3つ挙げてください。
・合計、割合、日付の言い換えは、計算式か根拠を添えてください。
・資料にない日付や数字に置き換えないでください。

使う資料: 下に貼った表
【ここに表を貼る】

ほかのプロンプトを見る

手順3の最後の2行は最初の文面で試した3回を見てから足しました。足した理由は「式のない数字は間違えることがあります」の節で書きます。

「OK」と言うまで Gemini は作業を始めません

2026年11月2日と3日に b-jam の Business Starter の Gemini アプリで合成データだけを使って試しました。題材は架空の3業務です。備品購入申請を部長向けにまとめる、今週の受注一覧を営業会議用に要約する、今月の支払予定を一覧にして注意点を出す、でした。最初の文面で3回、式を付けさせる2行を足した文面で4回、計7回です。

  • OKの前に成果物が出た回は、7回中0回でした。ゴールの確認が出た後、OKを返すまで表も文書も出ませんでした
  • 「おまかせ」「わからない」と答えた4回は、どれも Gemini が案を示して次へ進みました。出来上がりの形を「おまかせ」と答えた回は、構成案を先に出してから次の質問に進みました
  • 質問は意味の上では各応答に1つずつ来ました。5問目で宛名と期限をひとつの文にまとめて聞いた回がありました

式のない数字は間違えることがあります。式を付けさせて電卓で1つ確かめましょう

最初の文面の3回では数字の誤りが3つ出ました。

  • 備品購入申請の表(画面のモデル表示は思考モード)では、税抜合計が318,340円と出ました。正しくは318,240円です。税込合計も350,174円と出ました。正しくは350,064円です
  • 受注一覧の要約(表示はFlash)では、佐々木さんが全体の「約7%(405万円)」と書かれました。405万円は全体584.5万円の約69%です
  • 支払予定(表示はFlash)では数字の誤りは0でしたが、「計3点(4件分)が未承認」と件数の書き方が食い違っていました

備品購入申請では表の下の税率の行を貼っていませんでした。Gemini は税率を10%と置いて計算し、その置いた旨を確認点に書いていました。資料にないことを黙って足したわけではありません。ただ、置いた数字が正しいかは、こちらで見る必要があります。

そこで手順3に「合計、割合、日付の言い換えは、計算式か根拠を添えてください。」と「資料にない日付や数字に置き換えないでください。」を足して4回試しました。

題材 実際に動いたモデル 数字の誤り
備品購入申請 Flash(思考モードを選んだが上限の知らせが出た) 1。高額3件の税込合計が272,800円(正271,700円)。式なし
受注一覧 Flash(同上) 0。割合2件は値が正しいが式なし
備品購入申請 思考モード 1。確認点の割合が87.1%(正77.6%)。式は付いていた
受注一覧 思考モード 0。合計と割合9個のうち8個に式

Flash で式のなかった高額3件の合計は誤りでした。式の付いた合計はすべて正しかったです。ただ割合や万円の表記には、小数を切り捨てた箇所が3か所ありました(26.84%が26.83%になるなど)。思考モードの備品購入申請では計算した25個すべてに式が付き、成果物の前に Gemini が Python のコードで集計していました。部署別の合計はすべて合っていました。誤った87.1%はコードの外の確認点の文章の中にありました。式は「271,700÷350,064」と正しく書かれているのに、答えだけが違いました。

式を読めば、どの数字をどう割ったかが分かります。分かれば、電卓で1か所叩くだけで確かめられます。式が付いていても、Gemini が書いた答えは信じ切らず、1つは自分で計算してください。試したのは思考モードの備品と受注の1回ずつです。再現はまだ確かめていません。

思考モードの上限は表示が変わらないことがあるので自分で見分けましょう

式を付けさせた文面の最初の2回は、思考モードを選んで送りました。ところが、選んだ直後に「思考モデルの上限に達しました/11月2日 18:24にリセットされるまで、他のモデルが使用されます。」と出ました。そのまま送った結果、送信後の画面の表示は全応答で「Flash」でした。選んだつもりで Flash が動いていた回です。表の2行目までが、それにあたります。

18:24 以降に思考モードで再走しました。ピッカーの項目名は「3.6 Thinking」です。ヒアリングの5問とゴールの確認で6応答を使うと、同じ知らせが出ました。次のリセットの表示は22:24、その次は11月3日の2:24でした。どちらも、リセットの後6応答目で当たりました。確かめたのは b-jam の1つのアカウントだけです。

知らせが出たあとも、ピッカーの表示は「思考モード」のままの場面がありました。別の場面では次の送信のあとに「Flash」へ変わっていました。表示を見てもモデルの切り替わりは分かりません。分かるのは応答の下と入力欄の上に出る知らせです。

公式のヘルプには思考モードの上限に達しても同じチャットで高速モードを使って続けられる、と書かれています。Business Starter の思考モードは、公式の使用量の一覧で「基本的なアクセス」とされ、1日の上限は頻繁に変わりうると書かれています。上の6応答と4時間という数は、公式の値ではありません。b-jam の観察です。

数字を使う前に次の3つを確かめてください。

  • 知らせが出ていないか。出ていたら、その応答からは Flash の可能性があります
  • 式が付いているか。付いていない数字は電卓で叩く対象です
  • 「OK」を送る前に成果物が出ていないか

うまくいかないときは一言返して直します。

  • 質問が一度に何個も来たとき: 「1問ずつにしてください」と返します。文面には書いてありますが、守られない回に備えた一言です(b-jam の7回では必要になりませんでした)
  • 資料にない数字が出たとき: 「資料にない数字は作らないでください。元の表のどの行から取りましたか」と返します
  • 「OK」の前に成果物が出たとき: 「OKと言うまで作業を始めない約束でした。いったん止めてゴールの確認からやり直してください」と返します。b-jam の7回では起きませんでした

実在の社員名や金額は確かめ方に慣れてから入れましょう

実在の社員名や金額は合成の表で数字を自分で確かめられるようになってから入れてください。ここに書いた結果はb-jam の1つのアカウントでの7回です。ほかの業務や表では違う結果が出る可能性があります。


数字を画面で確かめるやり方は「Geminiの「Canvas」で毎月の集計アプリを1文で作りましょう」にも書きました。

自社の仕事に合わせた頼み方を一緒に作りたい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。

Microsoft 365 Copilot をお使いの方は、Copilotには作業の前に質問させましょうへ。

出典・参考リンク

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