Gemini for Google Workspace 職種: 総務・人事

社内の問い合わせには規程FAQを根拠にGeminiで回答案を作りましょう

今井雄大 公開
この記事の要点

社員からの問い合わせに、貼った社内規程FAQだけを根拠にした回答案をGeminiで作る頼み方。件名と本文の形で出させる文面と、FAQに書いていない問い合わせへの答え方、送る前に直す4か所を載せます。

要約 社員からの問い合わせに、貼った規程FAQだけを根拠にした回答案を、FAQの番号つきでGeminiに作らせる頼み方です。b-jam の Gemini for Google Workspace(Business Starter)で合成のFAQと問い合わせ5件を使って試すと、4件はFAQどおりに答え、FAQに書いていない1件は手続きを作らず「記載なし」と答えました。ただし、送る前に直す箇所が4つありました。

規程FAQを貼って根拠をFAQの番号で付けさせましょう

慶弔休暇は何日か、タクシー代に領収書は要るか、健康診断を受けそびれたら費用はどうなるか。総務には規程を見れば答えが決まっている問い合わせが毎日届きます。規程を開き直して文面を組み立て数字を書き写す。答えが決まっているぶん、写し間違いが一番の怖さです。

この記事は規程FAQの抜粋と問い合わせをGeminiに貼り、FAQの番号つきで回答案を作らせる頼み方です。先に質問させる型は「Geminiには作業の前に質問させて数字は式で確かめましょう」と同じで、ここでは資料と形を総務の仕事に合わせてあります。

試したのは b-jam の Business Starter の Gemini アプリです。画面のモデル表示は開いた時点も7つの応答すべてでも「Flash」でした。この日は思考モードの上限に達していて思考モードでは試していません。

貼る文面は1通です

質問、ゴールの確認、OKのあとの作業という3段の文面です。1行目の業務と最後の資料の行を規程FAQと問い合わせに合わせてあります。

プロンプト
社員からの問い合わせに、社内規程のFAQを根拠にして回答案を作る作業を手伝ってください。
先に作業せず、次の順で進めてください。

手順1 質問
・私に1問ずつ質問してください。全部で5問以内です。
・聞く順は、目的、使う資料、出来上がりの形、守る決まり、読み手と期限です。
・私が「わからない」「おまかせ」と答えたら、あなたの案を示して次へ進んでください。

手順2 ゴールの確認
・質問が終わったら、目的、入力、出力、守ること、確認方法を3〜5行でまとめてください。
・私が「OK」と返すまで、作業を始めないでください。

手順3 作業
・OKの後で作業してください。
・数字と固有名は、元の資料のどこから取ったかを添えてください。資料にない数字は作らないでください。
・最後に、私が確認すべき点を3つ挙げてください。
・合計、割合、日付の言い換えは、計算式か根拠を添えてください。
・資料にない日付や数字に置き換えないでください。

使う資料: 下に貼った社内規程FAQと問い合わせ
【ここに貼る】

ほかのプロンプトを見る

最後の【ここに貼る】に、FAQの抜粋と問い合わせを本文として貼ります。実在の規程や社員の名前は入れず、最初は架空の数字で試してください。

b-jam の試行では、質問への答えを次のようにしました。目的は「社員から届いた問い合わせ5件に、総務として早く正確に返したい」、使う資料は「貼ったFAQと問い合わせだけ」、守る決まりは「丁寧語で、1件3文以内」、読み手と期限は「問い合わせてきた社員5名に今日中」です。出来上がりの形は「おまかせ」と答えました。

出来上がりの形は「おまかせ」でも決まります

2026年11月3日に、総務部のFAQ8項目と社員からの問い合わせ5件をすべて合成で作って試しました。

出来上がりの形を「おまかせ」と答えると、Geminiは、問い合わせごとに件名と回答本文を丁寧なメール形式で書く案を出して次の質問に進みました。質問は5問で、各応答に1問ずつ来ました。「OK」と返すまで、回答案は出ませんでした。

回答案は5件とも、社員に送れる件名と本文の形でした。たとえば祖母が亡くなったときの休暇の問い合わせには、休暇は2日、申請は総務部へ、事後なら7日以内、と答えました。本文の中に「(FAQ1より)」と根拠が入り、末尾にも、数字ごとの根拠の一覧が付きました。

5件のうち規程に答えがある4件は、4件ともFAQどおりの内容でした。休暇の日数、領収書の要否、健康診断の期限と費用、在宅勤務の上限です。FAQにない数字や日付は出ませんでした。

FAQに書いていない問い合わせには「記載なし」と答えさせましょう

問い合わせの1件はわざとFAQに書いていない内容にしてありました。育児休業の申請方法です。

Geminiの回答案は「今回提示された社内規程FAQには育児休業に関する記載がございません」でした。申請先や期限は作らず、「詳細な申請手順については総務部まで別途直接ご相談・ご確認ください」と続きました。内線番号も作っていません。本文で足りない窓口の追記は、確認点の3つ目に回りました。

在宅勤務を週3日にできるかという問い合わせでも、FAQは「週2日まで」です。回答案は「週3日での実施はできかねます」で、例外の制度は出てきませんでした。

文面の「資料にない数字は作らないでください」とGeminiが自分で出した「FAQ記載外の事項は確認が必要な旨を記載する」という決まりが、ここで効いたと考えられます。

送る前に総務が直すところが4つ残ります

試したのは1回です。ほかのFAQや問い合わせでは、違う結果が出る可能性があります。b-jam の回答案を読み返すと、送る前に直したい箇所が4つありました。

  • 聞かれていない情報が足されます: タクシー代の問い合わせに、領収書の要否だけでなく「月末締めで翌月5日まで」の精算期限が付いていました。FAQ3に書いてある内容で、誤りではありません。ただ、聞かれていないことを書くかは総務が決めます
  • 言い切りが条件を落とします: 健康診断の回答案が「自己負担にはなりません」と書いていました。前の文には「上限15,000円」とありますが、この文には上限の条件がありません。上限を超えた分は自己負担になりうるので、言い切りが誤解を生みます。Gemini自身も、上限超過の可能性を確認点に挙げていました
  • 確認点の説明が本文と合いません: 休暇の確認点に「『事前申請』と『事後7日以内』の双方に触れています」とありましたが、本文に「事前」の語はありませんでした。確認点を鵜呑みにせず、本文と見比べてください
  • 窓口の案内が自分に戻ります: 育児休業の回答案は件名が【総務部】なのに、「総務部まで別途ご相談ください」と書いていました。差出人と相談先が同じです。聞き先は総務が書き直します

もう1つ、「1件3文以内」は守られましたが、1文目は5件とも呼びかけの挨拶でした。内容の文は実質2文です。字数にゆとりがほしければ、「挨拶を含めて」かどうかを文面に書き足してください。

最後にGeminiが出す「確認すべき3点」は、総務の確認リストの土台に使えます。ただし確認点の説明が本文と合わないことがあり、上の4つもリストに載らないことがあります。

個人契約の 4 Argon でも送る前に回答案を読み返しましょう

同じ文面を、個人契約の Gemini アプリの「4 Argon」(思考レベルは既定の「低」)でも1回試しました。同じ合成のFAQと問い合わせ5件です。上の直し箇所は Business Starter(Flash)の結果で、4 Argon の結果は次のとおりでした。

  • 質問は5問で、「OK」の前に回答案は出ませんでした。出来上がりの形を「おまかせ」と答えると、メール形式ではなく、宛先・回答案・根拠を問い合わせごとに並べた箇条書きの案が出ました
  • 4件はFAQどおりでした。育児休業は手続きを作らず「記載がございません」と答え、「確認のうえ、改めてご案内いたします」で終わりました。窓口を総務部に戻す書き方は出ませんでした
  • 根拠は回答案の本文でなく、別の「根拠」欄にFAQの番号と計算で付きました。回答案は1件が3文で、ほかの4件は2文でした
  • 健康診断の回答案には、上限15,000円の条件が同じ文の中に入っていました
  • 聞かれていない情報が足される癖は残りました。タクシー代に精算の期限が、在宅勤務に前日17時までの申請が付きました
  • 新しく出た癖もあります。根拠欄の数式の表示が崩れ、「≥1,000」が1文字ずつ縦に並んだり、「$3\text{日} - 2\text{日} = 1\text{日}$」のような記法がそのまま見えたりしました。回答案の本文には出ていません

試したのは1回です。送る前に総務が読み返す手順は、上位のモデルでも省けません。上位のモデルが使えるなら、同じ文面を試して、上の直し箇所が減るかを自分の目で見てください。


数字を画面で確かめるやり方は「Geminiの「Canvas」で毎月の集計アプリを1文で作りましょう」にも書きました。

自社の規程に合わせた頼み方を一緒に作りたい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。

Microsoft 365 Copilot をお使いの方は、社内の問い合わせには規程FAQを根拠にCopilotで回答案を作りましょうへ。

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