Geminiで業界を調べるときは出典のURLを開いて数字をページと照らしましょう

今井雄大 公開
この記事の要点

GeminiのDeep Researchに業界の調査を頼む文面と、報告の出典URLを開いて数字を確かめる手順。トップページが出典だった例と同じ年の数字が2つ並んだ例、手元の調査メモを出典の抜粋と並べて判定させる頼み方つき(Business Standardの思考モード)。

要約 Gemini の Deep Research は、Google 検索を使って出典つきの長い報告を作ります。Gemini for Google Workspace(Business Standard)の思考モードで、業界を1つ選んで頼むと開始から約26分で約1.2万字の報告が出ました。先頭の出典10件はすべて開け、確かめた数字5つも出典のページにありました。ただ数字の出典がトップページだった例と、同じ年の数字が2つ並んだ例がありました。出典を開いて確かめる手順と手元の調査メモを出典の抜粋と並べて判定させる頼み方を載せます。

Deep Research に調べる範囲と出典の条件を頼みましょう

企画の下調べでは業界の規模や規制を短時間で集めます。AIが出した数字を出典まで開かずに資料へ入れるのが、いちばん怖い作業です。

試したのは Gemini アプリ(gemini.google.com)の Deep Research です。公式ヘルプは入力欄の「ファイルを追加」から Deep Research を選ぶと書いています。画面では入力欄の「+」を開き、その中の「その他のツール」の下にありました。選ぶと入力欄に「Deep Research」の札と「ソース」が出ます。ソースは「Google 検索」だけにチェックが入っていました。Gmail やドライブは外れたままです。

b-jam の Business Starter でも、同じ入口があり、調査計画の表示までは出ました。ただ思考モードの上限の知らせが出ていてモデル表示が「Flash」だったため、調査は開始せずに止めました。報告の結果は別の Workspace アカウント(Business Standard)の思考モードのものです。画面のモデル表示は「思考モード」でした。Deep Research のレポートの回数上限は、契約するエディションごとに公式の表で決まっています。自社の契約の列を確かめてください(2026年11月3日確認)。

頼む文面は次のとおりです。業界は自社や顧客と無関係な「クリーニング業」にしました。

プロンプト
日本のクリーニング業について、市場の規模、事業所の数の推移、主な法律や規制、業界の課題を1枚の報告にまとめてください。
・調べる範囲はWebだけにしてください。社内の文書やメールは使わないでください。
・数字には出典のURLを付けてください。出典に書いていない数字は書かないでください。
・数字には何年の値かを書いてください。

調査計画は編集せず待つ時間を見込みましょう

送信すると Gemini が調査計画を作ります。この回は「リサーチプランを生成中」の表示で約2分止まり、再読込すると計画が出ていました。計画は6つの調べる項目と「結果を分析」「レポートを作成」の段でできていて、「計画を編集」と「リサーチを開始」のボタンが付いています。編集せずに「リサーチを開始」を押しました。

開始から報告ができるまでは約26分でした。参照するサイトの数が「23件」「30件」「34件」と増え、「レポートを作成中」を経て完成しました。公式ヘルプには「通常、レポートの作成には5〜10分ほどかかります。複雑なレポートの場合はさらに時間がかかる可能性があります」とあります。今回はその数倍かかりました。会議の直前には頼まず、半日の余裕を持ちます。公式ヘルプによると待つ間にチャットを開いておく必要はありません。

出来上がった報告は「1枚に」と頼んだのに約1.2万字(見出し4つ・表3つ)で、1枚には収まりませんでした。出典URLは本文の文末に「(出典URL: …)」の形で付き、数字には年も付きました。

出典のURLを開いて数字がそのページにあるか確かめましょう

報告の出典URLのうち、先頭の10件を開きました。10件とも開けました。厚生労働省の「クリーニング業の実態と経営改善の方策」のPDF、クリーニング業法の概要、衛生行政報告例、クリーニング業法施行規則など、公的な出典が多く並んでいました。

数字は5つを照らしました。1992年の年間洗濯代19,243円・世帯数42,458千世帯・需要規模8,170億円と、2015年の6,601円は厚生労働省のPDFの表に同じ数字がありました。2002年の10,713円は別のサイトのページにありました。5つとも出典のページに書いてありました。

URLが開いても数字がそのページにあるとは限らない例が見つかりました。2024年の「年間クリーニング代4,570円」「ホーム総需要額2,778億円」の出典の1つに、nicli.co.jp のトップページが挙がっていました。トップページを開いてもどちらの数字も見つかりませんでした。4,570円は一緒に挙がっていた別のサイトのページにありました。

出典が複数並んだ数字は1つずつ開いて、数字がそのページにあるかを見ます。トップページだけが挙がっている数字は、数字が載っているページを探してから使います。

同じ年の数字が2つ出たら公式の最新の表で決めましょう

2024年度末の全国の施設数が、報告の中で2つ出ていました。

  • 本文と表: 69,855施設(厚生労働省の衛生行政報告例が出典)
  • 別の段落: 「2024年度の69,299施設(別集計区分)」(民間の発表が出典)

2つ目には「別集計区分」と注記が付いていて、Gemini が違いに気づいていたことは分かります。ただ並べて読むとどちらを報告に使うか迷います。厚生労働省の令和6年度の報告(PDF)を開くと本文に「69,855施設で、前年度に比べ3,081施設減少」とありました。ところが翌年の令和7年度の報告の表では、同じ2024年度末が69,299施設になっています。公式の統計でも、後の年の報告で前の年の値が改められることがあります。

同じ年の数字が2つ出たら、片方の出典が公式の統計かを見て、その統計の最新の年の報告で同じ年の値を確かめてから決めます。

手元の調査メモは出典の抜粋と並べて判定させましょう

調べ終えた数字は別の人がまとめた調査メモに入ることもあります。メモの10件の主張を出典の抜粋と突き合わせる頼み方も試しました。メモと出典1〜4の抜粋は架空の地域卸売業の動向の合成です。ずれは7件入れました。数字違い・出典番号の取り違え・最大の課題の取り違え・試行と本格導入のすり替え・年違い・出典にない言い過ぎ・出典なしです。

プロンプト
目的: 下の調査メモの10件の主張が、出典の抜粋と合っているかを確かめたいです。
文脈: 私は企画担当です。調査メモは別の人がまとめたもので、出典の抜粋は元の資料から写したものです。
期待: 主張ごとに、合っている/ずれている を判定し、ずれている場合は理由と、出典に書いてある正しい内容を書いてください。出典に書いていないことは補わないでください。
出典: 下に貼った調査メモと出典の抜粋だけを使ってください。

【ここに調査メモと出典の抜粋を貼る】

ほかのプロンプトを見る

一度に頼んだ回も先に質問させた回も、ずれ7件をすべて見つけました。合っている3件を誤って指摘した行は0でした。出典がない「国内市場は約300兆円」は一度に頼んだ回が「ずれている」、先に質問させた回が「根拠なし」と判定しました。2択で頼むと出典がない主張も「ずれている」に入ります。

先に質問させた回には2つ良い点がありました。「業界で最も多い」を出典が会社自身の発表であることに触れて「自社発表(出典4)」と指摘しました。年が違う出典3については「念のため」と、2025年の調査であることを資料内に明記するかを確認点に挙げました。

気をつける点もあります。先に質問させた回は出典がない「約300兆円」に、「経済産業省の商業動態統計など」と出典の候補を挙げました。資料にない、Gemini の知識からの提案です。実在するかは自分で確かめてから使います。

質問させてから作業させる型は「Geminiには作業の前に質問させて数字は式で確かめましょう」に書きました。


自社の企画の調べ方に合わせた頼み方を一緒に作りたい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。

Microsoft 365 Copilot をお使いの方は、Copilotのリサーチ機能で調べた数字は出典まで開いて確かめましょうへ。

この業務の出どころ b-jam では、この業務を日常に Claude で回しています。同じ作業をお使いの Gemini で再現できるか、公開情報と合成の資料で試しました。

出典・参考リンク

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